「じゃあ、行って来るね」
「行ってらっしゃい。ゆっくりしておいで」
「うん。でも、すぐ帰ってくるから心配しないで」
背中にリュック、手にはトランク。
愛する兄貴に見送られて、目指すは空港。
あたしは今から日本へ帰ります。
+Beauty and the Beasts+
「おー!ついたぜ日本!!!」
4月某日、日本の東京都は丁度桜満開の時期だった。
こんな見事な桜はモチロン、アメリカじゃめったに見れるモンじゃない。
へぇ・・・・キレーだなぁ・・・・・・・・・・
「にしても・・・・・・急に帰国だなんて母さん何考えてんだろ」
桜に見とれながら、残っている午後の紅茶を飲み干した。
・・・・・・・・・多分、バカンスかな?って昨日兄貴が言ってた。
でも、そのわりにはイヤな予感がする。
今までにはなかった、とってもとってもイヤな予感。
「やめよ、深く考えんの。さー、はるちゃん(←伯母)の家に行くぞー」
空になったペットボトルをゴミ箱に投げ入れ、リュックを背負い直した。
バスに乗って、目的地のはるちゃんの家へ向かった。
「はるちゃーん!来たよ・・・・あれ?誰もいないや」
ガチャッと、玄関の扉を開けたけど電気が消えてて中は日の光だけで薄暗い。
それに、靴箱の上に留守番メモがおいてあった。
「・・・へ。家に着いたらすぐこの氷帝学園の理事長室まで来てねvはるちゃんより。・・・・はぁ?また移動?もぉ、連絡くらい入れてよ!」
玄関扉を静かに閉め、地図を持ってあたしはまたバス停まで歩き出した。
にしても、はるちゃんが地図書いてくれててよかったよ。もう少しで迷うとこだった!
バスに乗る事15分、バス停から徒歩10分で例の氷帝学園についた。
「うーわ、デッカイ学校!あ、でもクラリス(←が通ってる女子中学)とそんな変わんないか・・・」
すぐさま、校門を蹴破って校舎内に入った。
でも、部外者が勝手に入っていいのかな・・・・・・・・・?
まぁ、いいか。(←ええんかい)
「はるちゃん!ただいまー」
ガチャッと、理事長室のドアを開けると
「あら、もう帰ってきたの?お帰り」
椅子に座って書類をまとめているはるちゃんが、あたしを出迎えた。
「つっかれたー!もう、クタクタ!!」
理事長室のソファに、ドカッと思いきり座って
はるちゃんが入れてくれた冷たい麦茶を飲んだ。
「長旅ご苦労様。」
「も、ホント長旅だったよ。飛行機乗って、バス乗って歩いて・・・で、またバス乗って歩いてきたんだから。」
指おりして、今まで乗ってきたものを数えた。
そういえば・・・・・・もう、お昼過ぎか・・・・・・・・・。
「ねぇはるちゃん。あたしなんでわざわざ日本に来たの?」
「あら、柚妃(←母)から聞いてない?」
「うん、全く。」
「あなたの男嫌いを、完全に治すために日本で共学の学校に通う事になったのよ」
「ブー!!・・・ゲホッ・・・・・ゲホッ・・・・・!」
おもわず、飲んでいた麦茶を吐いてしまった。
オイオイオイ!!!今なんて言った?
Once more please!
「大丈夫?」
「う・・・ウソだろ?冗談も程々に・・・」
「ホントよ。もう、ここの編入手続きもしてあるもの。勿論、住居などの手配も全てね。」
はるちゃんはヒラヒラと、捺印が押された書類をあたしに見せた。
「いいじゃん別に!!男が嫌いでなにが悪い?!!!」
「柚妃も心配なのよ。年頃の娘に男の一人も出来ないのが・・・」
「男なんかいらねぇし!!やってらんない、あたしお家帰るー!!」
リュックを背負って、トランクを持ち理事長室を出ようとしたとき
「そういえば柚妃が、もし男嫌いが治らないんだったら君と婚約させるとか言ってた様な気が・・・」
「な、なんだってぇーーーー!!」
あの、ウザキモ変態星人のと婚約ーーーー?
ダメダメダメダメ!!
そっちこそ却下だーーー!!!!
「どうする?アメリカに帰って君と婚約するか、こっちで男嫌い治すか。」
「断然後者で。」
「わかったわ。柚妃に伝えとくわね。・・・そうと決まれば編入試験受けてもらうわよ」
「はぁーーー!!試験?」
「大丈夫よ、ちょっとした学力考査だから。はいどうぞ」
「うぇー・・・・テスト嫌い・・・・」
春ちゃんから、テスト用紙を渡されあたしはかりこり問題を解いた。
なんだ・・・・・・・ホントに簡単じゃん。
「はい、終わり」
「あら、早いわね。まだ3時間しかたってないのに」
「だって簡単なんだもん」
空白なく書き込まれたテスト用紙をトントンと揃え、まとめて春ちゃんに渡した。
用紙をさらさらと走る赤ペン。しばらくして、採点していた手が止まる。
ニッコリ微笑んだ春ちゃんは、あたしにさっきのテスト用紙を見せた。
5教科どれも満点。
「凄いわね。満点はが初めてよ。」
「はっ?マジで?こんな簡単なテストをミスるヤツいんの?ありえねー」
「(これ、実は高校3年生のテストなんだけど、黙っときましょ)」
「で?あたしはこれからどうすればいいの?」
「そうそう、これから話さなきゃならない事がたくさんあるからとりあえず座って」
あたしは一度立ち上がったソファに、また腰掛けた。
「仕送りは、月50万くれるそうよ。だからってあまり使いすぎないように。・・・それから、家の事だけどこの地図見て探して。」
「ん。了解」
「最後に一つ、明日は遅刻せずにココへ来る事。この学校は9時から授業が始まるから気をつけて。
一応校則じゃ、正門が閉まるまでに学校に入れば遅刻じゃないからね。」
「ゲェ!!9時?早ーい」
前の学校は10時半から授業開始だったのに・・・・・・・・最悪。
「くれぐれも遅刻しない様にね。」
「へーい。も、帰ってええ?」
おろしていたリュックを背負いなおそうとした。
「そうね、一通り説明も終わったからいいわよ。車に気をつけてね」
「わかってる、じゃあね」
バタン
理事長室のドアを閉めると、校舎を出て校門を乗り越えた。
そして地図を片手に、新しい自分の家へと向かった。
コメント
逆ハーの序章、つまりプロローグです。(そんくらいわかっとる)
ていうか、逆ハーなのに誰も出せなかった・・・・・
次は1人出ますので!!!
早く次更新したいなぁ・・・・・・